熱中症予防は水を飲むこと

熱中症予防は水を飲むこと

スポーツと水分補給は切っても切れない関係にあることは最近では常識になりつつありますが、少し前の日本のスポーツ界には医学的、生理学的に考えると誤りであるとされる常識がまかり通っていました。

柔道界や相撲界でのさまざまな不祥事は誤った精神主義による負の遺産と考えてもいいでしょう。

そこで行われてきた「常識」はいたずらに怪我や病気、重大な事故につながる恐れもあります。

たとえば、運動中に水を飲んではいけないという長らくスポーツの現場で常識とされてきたことも、医学的生理学的に考えれば、重大な誤りであるのです。

運動中に水を飲むとバテる、動きが鈍くなる、汗を大量にかいてしまって汗とともにスタミナまで奪われてしまうと考えられてきました。

練習中は暑くても、どんなにのどが渇いても水を飲んでしまっては練習の効率が悪くなると考えられてきたのです。

昭和50年代に少年時代を過ごした私自身もそうでしたし、現在30代後半くらいまでの方ならスポーツの練習中には水を飲むなといわれてきたのではないでしょうか?

歴史的に調査した研究によれば、明治時代のはじめごろに「水抜きでの鍛錬法」という説を紹介した人がいるらしく、この流れが1916年の「運動生理学」という書物に基本的な考え方として継承されたようです。

また、昭和8年に陸軍戸山学校では節水行軍研究が実施されて、精神鍛錬の要素を入れた訓練中の水分制限を強要しています。

こうしたことを考えると、運動中に水を飲むなという誤った認識は、明治から戦前までの軍隊訓練の場での精神鍛錬の意味合いからでたものと考えられます。

つまり、水を飲まない非常に苦しい状態でも冷静な判断力を保ち、軍隊の一員としてしっかりと仕事をするために、極限状態での訓練をするというものが、いつからか運動もくるしい状態を克服してこそ喜びが待っているといった誤った方向へ解釈されるようになったのでしょう。

激しい運動時には収縮した筋肉では通常時の15倍から20倍も熱量が上がります。

脳の視床下部にある温度を感じる器官が体温の上昇を感じると血流量を増やして体内の熱を外部に放出しようとします。

また、汗を放出してその気化熱の働きにより体表面の温度を下げようとします。

筋肉で発生した熱が血流や発汗機能による熱の放出量を上回ると体の中の熱量が蓄積され、体内の水分も失われます。

そのため、発汗機能がうまく働かなくなったり、血液の粘度が上がって血流障害が発生する恐れもあります。

このように脱水症状が進むと熱中症や熱射病といった高温障害を引き起こし、場合によってはしに至ることもあります。

この発汗機能と血流を利用した体温調節の機能は子供や高齢者はうまく機能しないことも多いために成人よりもより注意が必要です。

熱中症や熱射病予防の最も効果的なポイントは、体温上昇を防ぐことと、適切な水分補給です。

涼しい環境下にいることと、こまめに水を飲むことが何よりも大切なのです。

2014年6月18日|